17万打企画

座談会

参加者:NARUTO:主人公(受付嬢様)&カカシ 
    HUNTER:主人公(世話係様)&ヒソカ

さて、本日はメイン作品が交代するということで、座談会を企画することになりました。目的は特にコレといってないのですが、メインを終わらせた方は次の方に何かアドバイスでもされたらいかがでしょうか。親睦を深めて頂きたく存じます。それでは、会が始まるまでは待合室でお待ち下さい。









★待合室A★





目的のよく分からない座談会に参加するため、インビテーションカードを片手に私は廊下を走っていた。初めてお会いする人と話すのに甘いものは欠かせないだろうと勝手に思い、アップルパイを用意しようと、昨夜張り切っていたのだが、思うような味が出せず、何度も作っていたら遅くなってしまった。ヒソカには先行ってもらったが、彼はあまり人当たりが良いとは言えないので不安が過ぎる。待合室と書かれている青いドアを見つけて、私は額に張り付いている髪を手ぐしで簡単に整え、ドアノブを捻った。



「遅くなってすみません」

「あ、大丈夫だーよ。まだ、俺しか来てな」



バタン

中にいる男を見て、私はすぐにドアを閉めた。いや、閉めずにはいられなかった。

なんだ、あの不審者。


顔の4分の3が布で覆われていた上に、片手に18禁小説を持ってたよ!ちょっ、マジこれないないない。こんな人と懇談会とかないから。親しくなれないし!

確かに、ヒソカも怪しい(なり)しているかもしれないけど、あれはサーカスやマクドナルドの関係者だとか言えば、納得できるじゃん?ギリギリセーフじゃん?でも、さっきの人は完璧アウトだよ!おかしいよね。あれ。陰湿で根暗な性犯罪者の匂いがプンプンしてたよ!

カバーしてよ。18禁小説!


頭を抱えて蹲っていると、急に後ろから声をかけられた。



「部屋に入らなーいの?」



ヒッと、小さく悲鳴を上げて、私は振り返った。



「大丈夫?」


この人、よく見てみると・・・。さっきは一瞬しか見れなかったけど、布で4分の1が隠れていようと分かる。かなりのイケメンだ。



「勿論、大丈夫です。アップルパイ持ってきたんですけど、甘いの大丈夫でしたか?」

私は彼の後ろについて部屋の中に入った。イケメンと話すのは私の趣味の一つである。





私に学習能力は無い。





******








★待合室B★



座談会の15分前、木の葉の受付嬢は、ポケットに手を突っ込みながら待合室に向かって歩いていた。仕事以外のことなら社長出勤当たり前。親友との約束に1時間遅刻することは彼女の中で常識だった。赤い扉を見つけて、首を傾げた。今日の参加者は自分を合わせて四人だった筈なのに、中からは1人分の気配しかない。集まりわりーな、と思いつつドアを薄く開け中を覗くと、ちょっと所か、かなり禍々しい空気を醸し出している、イカレタ服装と化粧をした男が、トランプタワーを作って一人クスクスと笑っている。彼女は一瞬、口を引き攣らせた。

なんだ。あの化け物。地球外生命体か?
おいおい、親睦って何の?
無理だろ。言語通じねーよ。
そんなことを思いつつ、クナイと起爆札を確認してからドアを開ける。



「今日、懇談会に参加する木の葉一美人な受付嬢でっす!よろしくねっ。テヘ」


ピョンと跳ねるように中に入り、いつも通り小首を傾げて馬鹿っぽく挨拶をした。男はトランプタワーから目を離すと、彼女を見て口を弧に描いた。


「こんにちは★」



やべえ、こんなナチュラルな反応、初めてなんだけど!



26歳の初体験




******






★待合室A★




「わー、想いが通じるまでに色々苦労されたんですね」


私はカカシさんとその彼女さんの話を聞きながら、アップルパイにナイフを入れていた。他の二人がまだ来ていないのに良いのかと、聞かれれば、悪いと答えるしかない。が、イケメンに何も差し出さない方が、もっと悪いことのように思えた。



「そうなんだよね。遠回りもいいところ。父さんには感謝の気持ちと共に、強い憤りも感じるよ。人にトラウマ作っといて、勝手に死ぬなよってね。あ、紅茶とコーヒーどっちが好き?」

「コーヒーお願いします。でも、その話は耳が痛いですね。私も一度死んだ口ですから」



お皿にアップルパイを乗せて彼の前に差し出すと、彼は私の前にコーヒーとミルク、砂糖を置いた。



「あー、でも生き返ったんだから良いんじゃなーいの?結果が大事だし、今は幸せなんでしょーよ?」

「はい、とても。カカシさんは?」

「やっと、手に入れた幸せを噛締めてる」



私たちは和やかな雰囲気の中笑いあって、お茶をした。





******







★待合室B★




「・・・」
「・・・」


一人笑いながらトランプタワーを作ったり壊したりを繰り返すピエロの向かいの席には、頬杖をつきながら待合室に置いてあった本をパラパラ捲る女の姿があった。女が読んでいる本のタイトルは『有為転変』。途中何度も欠伸をし、最後のページを開くと大きく背筋を伸ばした。そして、一言、普通の人には聞こえないくらいの声の大きさで「くだらねぇ」と呟いた。それに反応したのは目の前にいる赤毛の男だった。男は作業をピタリとやめると、女を見て唇を舐めた。



「何がだい?」



女は一度しか会わない男に対して、いつものような言葉遣いをする必要も無いと考え、普通に接した。「あ?」そう、普通に。



「何が、くだらないんだい?」

「全部だけど、特にこれの最後。『―それは時代や視点によって常に変わるからだ』って書いてるけど、価値観なんてもん、コロコロ変わってたら困るだろーが。程度の差こそあれ、どの時代にも当てはまる普遍的な『善悪』も『正義』もあるだろーし、ぶっちゃけ、どう考えても被害者の奴とかいるだろ?例えば、足踏んづけられたら、踏んだ方が悪いに決まってる。この作者の話じゃ、そこに足を置いといた奴が悪いって事じゃねーか。」

「人には教育欲がある。先生面して物事を分かった風に教えたがる人間は、いつの世でもいるものだよ★」

「いや、フォローになってねーよ。それ」

「何の義理があって、ボクがその作者のフォローをしなくちゃいけないんだい?」

「まあ、それもそうか。つーか、なんで悪役が滅びないの。コレ。おかしくね?物語として破綻してね?」

「ただの読者サービスだよ、深く考える方が間違っているよ★」

「それにしても、この主人公もこうイラっと来るな。この女、尻、軽くね?そりゃもう風船のように。つーか、明らかに最後同情入ってるよな。『こんなイカレタ子育てて済みません。責任はちゃんと取らせて頂きます』的なラストだよな。・・・ん?トランプ浮かべて、手品でも始める気か?悪いけど、そういうの興味ないから外でやってくれ」

「腰に刃物なんて付けちゃって、実はやる気満々で来たんだろう?ボクは、期待には応える主義なんだ★」



女と男の視線か交わった時、部屋の壁に大量のトランプとクナイが刺さり、重い金具の音がその場を支配した。




******







★待合室A★


「隣、うるさくありませんか?」

「そうだーね。それよりも、アイツ、来るの遅いな」

「話聞いていても、なかなかキャラが掴めなかったんですけど、カカシさんの彼女さんってどんな人なんですか?」

「うーん、一言では言えないけど。里思いの優しい奴かな。俺にとって彼女は天使だよ。君の恋人は?」

「うちのヒソカは、とても素直で可愛いんですよ。たまに頭を撫で回したくなるくらい!いつも私のことを思ってくれていますし、ヒソカは理想的な恋人です」



うふふ、あはは的な雰囲気が漂う中、隣の騒音は次第に大きくなり、怪訝に思ったカカシさんは私を音がしない方の壁に移動させた。隣の様子を見てくるからじっとしててと、彼が私に言ったその時だった。

騒音が聞こえてきた壁が崩れ落ち、そこからトランプやら手裏剣やら・・・って、手裏剣!?が飛んできた。ぽかんと口を開けたまま動かない私に対して、カカシさんはすぐにクナイを構え、こっちに飛んでくる凶器を振り落とし、彼女さんの名前を呼んだ。彼の行動を見て、冷静になると私も大声でトランプの持ち主の名前を叫んだ。


白い煙でよく見えないが二人は私たちの声を確認すると、ピタリと動きを止めた。



「よー、カカシ、社長出勤とはずいぶん偉くなったもんだな」


女性としてはいくぶんか低い声で発せられたその言葉は、威圧感があった。視界が鮮明になると共に現れた女性に私は息を呑んだ。

栗毛で透き通った瞳を持つ女性は、頭から血を流し、全身にかすり傷を負っていた。私と目が合うと、眉を顰めて親指で鼻血をぞんざいに拭いた。



あれが、カカシさんの天使!?


うわ、今、血が混じった唾を吐きましたよ。ペッて、ペッて!ワーオ、男前!

隣にいるカカシさんを横目で見てみれば、彼は唖然とした表情でヒソカを見ていた。ああ、分かる。彼の考えていることが私には分かった。

あれが、理想的な恋人!?

って思ったんでしょうね。
ヒソカ、貴方なんでわざわざピエロのメイクをして来たの?ってか、よくよく見てみれば、傷だらけじゃない!頭から血が!腕に痣が!



「ヒソカ、大丈夫!?」



彼の傍に駆け寄って肩を支えると、彼はそこで意識を失ったようで私も一緒に倒れそうになるが、腐っても強化系。そこは持ちこたえた。

カカシさんに救急車を呼んでもらおうと、目を向けると、カカシさんの彼女も倒れていて、私は自分の携帯で二人分の救急車の手配を頼まなければいけないことを知った。











当初予定されていた座談会でございますが、欠席4名ということで中止させていただきます。大変申し訳ございません。







「え、ちょっと困るわよ!メイン連載交代のカップル懇談会があるって聞いて、勝手に乗り込もうと企んでいたのに!何よ、欠席って!ふざけんじゃないわよ!職務放棄なんて大人失格よ!ね、スニベリー」

「僕は、貴様に連れてこられただけだ。そもそも、俺たちはカップルじゃない」

「私たちが付き合っているって思っている人たちはたくさんいるわ」

「くだらん噂だな」

「視点を変えれば嘘も真実になるらしいわよ(『有為転変』の最後のページを広げる)」

「インセンディオ(燃えよ)!」

「あー!!!」











次回新連載は「畑シリーズ」!皆、絶対見てくれよな!(ナルト風)





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