畑シリーズ

草莽の臣(そうもうのしん):無位無官の者






「デイダラさん、デイダラさん」

「何だ、トビ」


「デイダラさんって、木の葉のくのいちにガキ孕ませたってきいたんすけど、本当ですか?」


「嘘だぞ。うん。先のないオイラが、そんなことするわけないだろ?」


「じゃあ、人妻に横恋慕したってのも、嘘だったんすか。つまんなーい」


「つまんないってなんだ!オイラは、アイツを愛しただけだ!」


「って、やっぱ横恋慕したんじゃないっすか!」


「好きな奴が偶々、夫持ちだっただけだぞ」

「それ、不倫の常套句っすよ」


「好きな女を不幸にはしたくなかった。だから、避妊はちゃんとしいてたんだよ。うん」


「イタチさんの話じゃ、夫に宣言したんでしょ。自分の子がいるって」


「オイラじゃない男の傍で幸せになるのが癪だったんだ。だから、ちょっと意地悪してやったんだよ。」

「うわー、ひどー」

「うん?かわいいもんだぞ。あの女がオイラにつけていった傷に比べれば」

「そんな、良い女でしたか?」

「ああ、甘美で、崇高な、芸術そのものだったぞ。うん」

「爆発よりも?」


「・・・トビ、お前には分からないかもな。うん。お前には分からない!」






それは、長生きしているから、分かるものでもない、若いからって、分かるものでもない。



君と出会えた奇跡を、神に感謝する

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