畑シリーズ


窓ガラスが割れる音が聞こえて、目を覚まし飛び上がるように起きた私はカカシと目を合わせた。音の出所は息子の部屋で、私たちは武器を手に持つと、すぐに駆け出した。5歳の息子がアカデミーに入学するのをきっかけに大きめの一軒家を買ったのだが、間違いだったのだろうか、目的地に着くまでの距離が煩わしい。


「大丈夫か、カラス!!」


カカシが部屋のドアを開けた瞬間、廊下に鈍い音が響いた。
布の塊のようなものが転がって、そこから額と鼻から血を流した少女が顔を出す。

「父さん、ソイツ不法侵入者」

息子は容姿は昔のカカシそっくりで、チンチクリンだった。
少女を、まるで汚物でも見るかのように蔑視し、そう吐き捨てる息子を見て、一体この性格は誰に似たのだろう、といつも思う。


「息子さんが、いらっしゃるなんて聞いてません」

床に転がっていた少女はゆっくり立ち上げると、カカシを悲痛を帯びた目で見た。


「いや、自己紹介した時に話したでしょーよ?それに、うちの息子は有名でね、ああ、名前はカラスって言うんだけど、これがなかなか優秀で・・・」


カカシの親馬鹿丸出しの息子自慢が始まると、少女は鼻血を袖でふいて瞳に涙を溜めた。


「乙女が死ぬ覚悟で夜這いを試みたと言うのに、やっとのことで部屋に入れたと思ったら、ちんちくりんのガキが寝てて、私、心底驚愕しました!こんなの、あんまりです」



「「チンチクリン?」」


彼女の言葉を聞いて、私とカカシは目を合わせた。それから噴出して笑った。

そんな二人の様子を息子は怪訝に思い、少女は憤怒した。


























私たちの思いは、次の時代に受け継がれていく

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