兎シリーズ

赤い目の兎:根拠のない先入観のたとえ


受付嬢とは容姿だけが美しければそれで許される風潮がある。
それは木の葉に限ったことではないのだが、
木の葉の受付嬢の容姿は、まあ、一般人の中の上、美人ぞろいの木の葉では中の下が関の山であった。

木の葉の受付は年中無休で、
その受付を担うのは、中忍のうみのイルカと下忍のである。

受付といっても、朝と夜のピーク時以外は、結構暇で書類整理やアカデミー生の養育指導にあったたりする。

特にアカデミーでいくつかクラスを受け持っているイルカはと違い、忙しい。
は、もっぱら倉庫で書類整理と言う名目で居眠りをしていた。

受付嬢ということもあり、彼女は顔が広い、そのため噂の的になりやすく

いままで、付けられたあだ名は、十本の指では数え切れないほど。

その大半が中傷的なものであったが、本人が否定できない真実もちょいちょいあった。

まず、木の葉の受付嬢はイボ痔である、これはただの中傷で根拠のない嘘である。

が、木の葉の受付嬢は誰にでも足を開くというのは、まぁ、そう否定できないことなのだ。



後者の方が酷いではないかと思われる方もいるだろうが、
ここは、忍びの世界、無理を通して道理を引っ込ませる世界、 優秀なくのいちに貞操観念も世間体も関係ないのである。





これは余談だが、には、行きつけのラブホがあり、そこではたけカカシをよく見かける。

彼はいつも違う女を侍らせていて、ついこの間は二人の女(たぶん一般人)とホテルに入っていったのを目撃し、彼女は度々尊敬の念を覚えたりもした。







しかしながら、がこのような行為を行うのは快楽主義云々ではなく任務のためである。

ただし、あくまで自主的であって、別に木の葉最高権力保持者火影様に頼まれたからではない。

つまり、彼女が個室にはいって何をしたいかというと、間者の鑑別である。

森のイビキも真っ青の拷問と尋問を行い、 白であれば、挙旋術で傷を治し幻術で記憶を操作、地獄のような時間をバラのような時間だったと認識させ、ホテルから去る。
黒であれば、まぁ、その場で始末してしまうことになる。火影様には、いつも事後報告だ。


ターゲットはいつも下忍か中忍、 任務を通して他の上忍たちは同じ上忍の中に潜む間者を発見できるが、どうしても、自分たちより低いレベルにいる忍者には無頓着になりがちで、侵入者を見逃してしまうことがある。
その穴を埋める役を買って出ているわけだ。いや、誰にも頼まれていないけど。

しかし、実際に、はこの「間者の荒探し」で、何人も侵入者を見つけており、里に貢献しているのだ。

まぁ、だけれど、そんなわけで、には色々と悪い噂が後を絶たない。



勿論、否定しない彼女にも責任はあるのだけれど。

しかしながら、この先入観は仲間の中に潜む敵を見つけるには、もってこいのもので、多いに役立つ。

怪しいなとおもったっやつを見かけても、いかなる時、いかなる場所で声をかけたところで誰も怪しまないからだ。

まさに「先入観」様様なのである。



朝夕には受付の仕事、夜は間者の鑑別に勤しむ毎日。

常に睡眠不足なわけで、書類倉庫には、下忍の安月給からはどんな背伸びしても手の届かなそうな高級ソファと羽毛布団を後輩に買ってもらい、(と、いうのも、数少ないほとんどの後輩は今や暗部や上忍になってしまったからだ。)受付に人がいなくなれば、惰眠を貪っている。



そして、時間になると、いつもうみのイルカが起こしにやってくるのだ。

「こら!、寝るな!!書類によだれ付いてるぞ!!」

下校の時刻だろうか、窓からは、アカデミー生の元気な声が、もとい喧しい声が聞こえてくる。


「ん、ああ、イルカ中忍。今何時ですか?」



軽く背筋を伸ばし、羽毛布団を丁寧にたたみ、イルカに目を向ける。


「16時だ。」



「嘘、、まだ寝たりないのに」



小さく溜息を付きながら、ポケットから手鏡を取り出し、寝癖を整える。




「夜に寝ろ、夜に、任務時間に寝るな!!」


鏡に映った自分の顔から目を離し、その視線をイルカに走らせる。

「だって、夜は予約がいっぱいあるし、」


が意味ありげな口調で言うと、イルカはたこのように真っ赤になった。



「あは、イルカ中忍かわいい」


!上司をからかうな!!」


「えー、はイルカ中忍を常日頃から、尊敬してますぅ。イルカ中忍のように、やナルトのような悪い噂しか持たない者にも分け隔てなく接することができる人間は素晴らしいと思いますぅ。まさに鈍感力がなせる業でありますぅ。はい。」


「今の、褒め言葉か?」

「精一杯の。テヘ」


木の葉の受付二人がコレで良いのか。
その疑問を口にするものは、後を絶たない。
こうして今日もまた受け付け業務は始まる。
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