兎シリーズ

犬兎の争い: 当事者が争っている間に第三者に横取りされる

「きゃー、木の葉丸ちゃん、来てー!!」


ゲンマが医療班を呼びに行って、少し仮眠を取ろうと目を瞑り、意識を話そうとしていたは、けたたましいアカデミー生の叫び声で再び目を開けることになった。


アカデミーで最近第二のナルトとしてイルカに迷惑をかけている木の葉丸と、その連れ、モエギとウドンが、 が寝ているソファの前にいる。

先程の声はモエギのものだったのだろう。 彼女は尻餅をついて、化け物にでも会ったかのように唇を震わせてを指差し見ている。


「うわぁ、すごい血だ!!」


見るからに気の弱そうなウドンは、鼻水を垂らしながら体をブルブルと小刻みに揺らして怯えている。 その隣で、恐怖心を押さえ込み、気丈に振舞う木の葉丸。


「お前、誰なんだ。コレ」


は、血が相当抜けていたため、いつもの高い声と高いテンションをもって接することは無理だと思い、至って、普通に対応した。


「受付のだけど…」


「ああ!!」


「なんだ。モエギ」

「木の葉まるちゃん、この人、受付嬢のさんだよ!?」


え、だから、今そう言ったじゃん。何で繰り返したの?

ってか、何、その私が気づきましたって顔!!
モエギ、アンタ、卒業させないわよ!!!(注:にそんな権限ありません)


アカデミー生に対して暴言を吐く大人げのないであった。

怪我の所為で気が立っているということにしておきたい。









「あのう、大丈夫ですか?」

ウドンがおずおずとまともなことを言ってきた。 お姉さんとしてはこれを第一声に聞きたかったなと、思いながらも素直に返事をする。


「ええ、医療班が来るから」

「ああ!!」

今度は何よ、子供はあっちにいって遊んでなさい。(公園でだべるママ風) 木の葉丸が何を思ったのか、急にの腕をベタベタ触ってきた。 振り払うにも、力が出ないし、子供に乱暴はできない。


「何?木の葉丸君、私、できれば休みたいんだけど…」

「…この印」

その言葉に、木の葉丸が触っている右腕に視線を向けた。

ギョッとした。 暗部の刺青が浮き出ていたのだ。 いつもは術で隠しているのだが、出血多量のため術が切れたのだろう って・・・ヤバイじゃない。 さっと、ソファの横にあった毛布で隠す。


「木の葉丸ちゃん、なーに、あの印。」

「この間エビスに教えてもらったから、俺知ってるぞ。コレ。」

エビス!!
お前何教えてんだよ!っ家庭教師だからって教えていいことと悪いことがあるんだぞ!! (因みに暗部印の知識は常識の範囲)


「お前、あの組織に関っていた人間だったのか。コレ。」


何、
これ、想定外な展開なんだけど、アカデミー生にばれた!!!!

元アン(元暗部)だって、ばれた!!


しかも、さっきまで蔑んでいた三人に!!

ないないないないない、あり得ない!!!




何、この全身を襲う屈辱感!!


「モエギ、お前も覚えとけ、腕に刺青があるってことはだな…」

「うんうん。」






「元ヤンだ。これ!!」

ちげぇーーーーーーーーよ!!!!!

「そうなんだ!!木の葉丸ちゃんすごーい!!」

すごくねーーーーよ!!


火影様―!お孫さんの家庭教師変えた方が良いですよー!


一通りツッコミを入れ終えると、思いっきり脱力する


「まぁ、似たようなものか…。あのさ、他の人には黙っててくれる?」

「「「…」」」

ちょ、何その沈黙。

「えーと、木の葉丸君、モエギちゃん、ウドン君、何か欲しいものあるカナ?(誘拐犯の台詞風)」



手裏剣セット125両

等身大くまさんのぬいぐるみ185両

UVカットのゴーグル250両




・・・言い知れぬ不安、プライスレス
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