有為転変

01 / 徒手空拳





至る所でハエが飛んでる。
観光で築地の朝市に行った時以来のハエの大群だ。


ブンブンと音をたて、羽を忙しなく動かすその姿は一生懸命生きている生命の勇姿だ。



此処に来てから、死んだような目をしている人間や、覇気のない人間ばかりを見てきた。

唯一、元気なのは、ハエ、ネズミ、ゴキブリなどの人間以外の生物だ。

寒さを凌ぐためにゴミを燃やしている人たちにより、

ゴミの山からはモクモクと有害物質を含んでいそうな煙が出ている
体の弱い子供や高齢者はすぐに命を落とす。




何故、私がそんな所で生きているのか、住んでいるのか、という質問は私がしたいものであって、
何人たりも私に対してその質問をすることは許されない。














3日前に私はゴミの中で目を醒ました。


前日、出張する前の祝い酒として同僚と昼間から飲み屋にいき、
トイレに駆け込んだのは覚えているのだが、それ以降の記憶が無い。


そのまま寝てしまった私を呆れた同僚が、ゴミ置き場においていったのだろうと、
最初は思ったのだが、ものの5分でその仮定は否定されることになった。


日が沈み始めていた時刻で、夜のニューヨーク便に間に合わないと、
慌てて隣にあったキャーリーバッグを掴み歩き出した。



ゴミ置き場、というか、ごみ収集場だと気づくには、1分もかからなかったが、
近くを歩いていたホームレスらしき人に場所を聞いて、息を飲んだ。







どうやら、此処は「流星街」と呼ばれる場所で、全てのものを受け入れる町らしい。


御存知の人も多いかもしれないが、


流星街とは、その、あの、まあ、あれだ。



オタクの人なら誰でもいきたいと思うドリームワールドであって・・・。







いやいや、違った。


間違えた。



えーと、そう、某少年漫画に出てくる、有名な盗賊団と暗殺一家の嫁の出身地の名前だ。





因みに、私は単行本を集める派じゃなくて、雑誌を買う派。
いやいや、話がだいぶ逸れたので、本筋に戻そう。








つまり、その某漫画にトリップしたらしい。







(23)職業ITコンサルタント、





第二の人生の幕上げだった。













徒手空拳:手に何も持っていないこと、また、地位や資本など何も無いこと。

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