かくしては勇者ヒソカを変態ピエロから救うためにハンター試験会場に向ったのであった。
なんだ、このロールプレイング的な進み方。凄いイヤだ。
ザバン市までの交通手段をミルキに手配してもらい、
町に着くとは、白いワンピースとローラー付きの運動靴、つばの大きい麦藁帽子を買った。
季節は夏なのか、太陽がギラギラメラメラと白い肌を焦がしていく。
サングラスもできれば買いたかったが、10歳の顔に似合うサングラスは残念ながら無かった。
試験会場に足を進めながら、途中肉屋で、
小さいサイズの「世界一凶暴な豚」の丸焼きとクモワシの卵を買い、
雑貨屋でヌメーレ湿原の地図や携帯電話、救急箱等を揃えた。
試験参加者は少なくともゴンの番号札の数、405人は参加するのだ。
はっきり言って、1次試験でヒソカを探し出すことは無理だろう。
ヒソカがどれほどの能力を持っているか分からないが、一応少年時代はイルミと互角だったわけだし、
3次試験まではいくかもしれない。であれば、それ相応の用意をするに越したことは無いだろう。
そう思っての行動だった。
できるだけ、早く彼を見つけ、彼を安全な場所に避難させたいのは山々だが、思うように事が運ばないのは、今までの人生で十分に彼女は学んできたのだ。
1万円以上使った人全員に配られるらしいピンク色のリュックサックに、
買ったものを詰め込み、軽い昼ごはんを食べてから、例の定食屋に入る。
エレベーターを降りると、周りからは好奇な目が寄せられた。
ズシッと言う効果音が付きそうなリュックを背負い、麦藁帽子を被り卸し立てのワンピースを着た女の子は、どこかアンバランスで、限りなくこの会場にふさわしくなかった。
注目されたことに気づいたは、番号札をもらうと、帽子のツバを下に引っ張り、顔を隠すように深く被って、会場の隅に移動した。
周りをよく見ずに、下を向いて歩いたのが良くなかった。案の定、人にぶつかり、体がよろめいた。
「おっと★」
「あ、すみません」
反射的に頭を下げると、帽子にポンと手を置かれた。
「うん、ちゃんと謝ったね?良い子だ★」
その声を聞いて背筋がゾッとした。
は目の前にいる人物が、誰だか瞬時に理解した。
原作のヒソカだ。
心臓が早鐘を打ち、新陳代謝が悪い筈のの体から大量の汗が出た。
カードをきる音が耳に入り、眩暈がした。
噎せ返るような白粉の臭いに、吐き気を覚える。
そして、悪趣味な服装を視界に捉えて、悲鳴をあげそうになった。
想像を絶する恐怖に足が竦む。彼は、まだ何もしていないけれど、彼の意に沿わない行動を取れば殺されることは容易に想像できた。
何故かは、わからない。「危険だ」と、本能で感じる。
そして、時にその本能は理詰めにされた根拠よりも、当てになるものだ。
後ずさりすることさえ憚られるその威圧感に、体を強張らせ、彼が立ち去るまで彼女は指一本、動かすことが出来なかった。
男が遠ざかって気配がなくなると、は膝から崩れるようにその場に蹲る。
「っ、・・・冗談きつっ」
それから足も手もガクガク震えて、
試験管が現れるまで私の体は使い物にならなかった。
あんなに禍々しい人間がこの世に存在するなんて信じられない。
汗や涙は拭けても,
この恐怖は、どうやっても拭いようがなかった。
それでも、震える足を叱咤して、立ち上がったのは、大切な人を守る為だった。