トンネルの向こうは不思議な町でした。
おかっぱ美少年を見て、絶叫しました。
やっぱ、ジャンプよりジブリだよとか思って、本当ごめんなさい。
変態ピエロより顔無しの方がよっぽど愛嬌があるとか、思っています。許してください。謝るので、誰かこの状況を説明してください。
「さすが、さん。私信じておりましたわ。貴方が下々の武器で死ぬような方ではないと承知しておりました。」
ヒソカをゾルディック家に預けた後、私はそれをニコラに伝えた。
彼は顔を顰めたけれど、私の行動は想定内だったらしく、特に文句は言わなかった。
ただ、「覚悟はできているか」と聞かれた。私は頷き、彼は拳銃を私の左胸に向けて発砲した。
そして、暗転。
次に目が覚めたときには、10年後だった。私の体は腐敗しておらず、年をとるどころか10歳ばかり若返っていた。
何故?その質問に答える術はない。
全てが謎だ。
カルト君に棺桶から引っ張り出されて、キキョウがいるリビングルームに通された時には、相手も驚いていたが、私も十分驚いていた。
彼女はおそらく私が生き返ったことと、若返っていることに驚き、私は彼女の顔を覆う包帯に驚いたのだ。
そしてお互いにこう思ったのだ。
服装を見て声を聞かなければ、彼女だと分からなかっただろう、と。
「・・・ですから、シルバが墓石を作る時はヒソカと一緒に反対しましたのよ。
『あんな、メス豚に作るような墓など無い』ってね。いいえ、『泥棒猫』と言ったかしら、
もう10年前の話しですもの、いくら私でも一字一句は覚えておりませんわ」
10年前と変わりなく、ハイテンションに騒ぐキキョウを横目で見て、私は額に手を当てた。
キキョウ、貴方の成長が全く見えないんだけど、本当に10年経ったの?
「さんは、どうやって生き返ったの?なんで若返ったの?」
カルト君に先ほどから質問攻めにされている私だが、私こそその答えを聞きたかった。
しかし、生き返った今、一番の私の関心事は、ヒソカのその後であった。
「キキョウ、ヒソカは?」
「まあ、まあ、まあ!開口一番に言う言葉がそれで良いのかしら。人格を疑いますわ!
貴方がいなくなってから10年間、どれだけ私が涙を流してきたと思っていらっしゃるの。」
え、悲しんだの?
ついさっきの台詞から推測するに、とても喜んでいたように思えたんだけど、・・・私の気のせい?
「貴方が不在の間に、イルミは何を考えているか分からない子になってしまったし、
ミルキは引きこもってしまうし、キルアは家出してしまうし・・・」
いやいや、それ、全部私に関係ないよね?
そもそも、イルミ君は昔から何を考えているか分からない子だったよ。
「子供たちがこんなに立派に育ってくれたのに、それを伝える相手がいないとはなんと寂しいことなのでしょう。さんが生き返ってくれて本当にうれしいですわ!」
「はあ。で、ヒソカは今どうしているの?」
「ヒソカ君?ハンター試験を受けているんじゃないかしら。」
彼が生きていることを知って、安堵したが、同時に不安を覚えた。今なんて言った?
「・・・ハンター試験?」
「ええ、イルミが言っていたから、確かな情報ですわ」
「えええええええええええええええ!!!」
何考えてるの!何で、そんな命知らずなことしちゃってんの?!
10年前から、後先考えずに大胆な行動を取る子だなとは思っていたけれど、
それにしたって限度ってものがあるでしょ。ヒソカ!
「・・・因みに今年って第何回目のハンター試験ですか?」
「第287回目ですわ」
出たーーーーーーーーーーーーー!!!!
何、このお約束的な展開!
「・・・行かなきゃ」
「あら、どちらへ行かれるの?」
「ヒソカを連れ戻しに」
ヒソカの人生に何があってハンター証が必要になったのか知らないけれど、今年だけは避けなくちゃいけない。死神が2人もいるんだから、イルミ君はまだしも、あの変態ピエロにあってみなさい。「君、ボクと同じ名前なんだねー★んー、紛らわしいから、死んでくれる?」なんて、
ふざけた言葉を吐かれて、ヒソカは殺されてしまうだろう。
いや、名乗る前にヌメ―レ湿原で瞬殺かもしれない!
ジーザス!
死人に着せる白装束を、生きている今でも着ているのはなんなので、他に服はないかと聞いたら、キキョウはカルト君の着物を一つ貸してくれた。
昔自分が着ていたものより、丈が長いため動きづらいことこの上ない。
ザバン市で新しく服を調達すべきだと考える。
ヒソカが生きているのであれば、銀行口座が凍結している可能性は低いし、一応ミルキ君に確認して、それから銀行で少しお金を降ろそう。
きっと、原作通りミルキ君はパソコンが得意だろうし、銀行口座の状態なんてすぐ見れるだろう、そう思い彼の部屋を訪ねた。
ミルキ君の部屋には、スペースいっぱいにフィギュアがおいてあり、壁にはびっしりとポスターが貼られていた。
部屋はパソコンの明かりのみに照らされており、健康的な生活を送っているようには全く見えなかったが、その図体は大きく血色の良い肌をしていた。
少しばかり肥満体かもしれないが、まあ、16歳の少年としてはこのくらいでも良いのかもしれないと許容できる範囲だった。
「10年ぶりだね。こんにちは。ミルキ君」
声をかけると、彼はパソコンの画面から目を離し、私に目を向けた。
「お前、誰だ?」
「覚えてるかな。ミルキ君が小さいころによく遊びに来ていたんだけど」
「?」
「うん、そう。生き返ったついでに、若返っちゃったんだよね。よく分かったね」
ミルキ君が分かってくれたことに安心と喜びを覚えて微笑むと、彼は私を抱き締めた。
「分かるに決まってるだろ」
体が小さくなった所為で、余計彼の体が大きく感じるが、これが10年という歳月の重みなのだろう。オシメを濡らして泣いていたミルキ君が、こんなに大きくなったんだ。
なんだか、凄く感動して、うれしくて、抱き締め返した。
「分かるよ。だって」
「ミルキ君」
「だって、俺たち血が繋がった親子じゃないか!」
「・・・」
君は正真正銘キキョウの子だよ。
妄想癖なところがソックリだ。