これは純粋無垢な青年を変態ピエロから救う為、奔走した美女の話である。
ああ、この副題にツッコミ所が多いことは分かっているわ。
でも、頭が混乱していて、なかなかまとまらないの、多少の間違いは許してね。え、多少じゃない?
「あり得なーい!」
私、不肖は、ヌメーレ湿原の生き物に騙されて、真っ白い霧を徘徊中です。
ヒソカに似ている人を見つけて、追いかけたのが間違いだった。騙された!と、気付いた時には霧の中。
なんて、簡単に騙されてしまったんだろう。
本当、私馬鹿だ。
心なしか、霧の向こうにピエロらしき人とか、
クラピカとレオリオのソックリさんがいるような気がするけど、きっと見間違いだ。
此処まで歩いてくる途中死体みたいなのを何度も見かけたけれど、勿論、気のせいだ。きっと、またヌメーレ湿原の動物に騙されているんだ。もう、騙されないぞ。
うん、先を急ごう。
例え、万が一先ほど見た光景が、現実のものであっても主人公組は間違っても殺されることはないんだし、
うん、別に悪いことしてないよ自分。
元気出せよ自分。
罪悪感とか覚え始めたらキリが無いよ自分。
アディユ、少年たちよ!健闘を祈る!
他の受験者だって、死を覚悟でこの試験に参加しているだろうし、同情する余地などない。
そもそも、世の中には、出来ることと出来ないことがある。
天地がひっくり返っても、私が気違いピエロを倒すことは無理だ(←結局それ)
悲鳴があがる場所からダッシュで離れて、リュックから地図と磁石を取り出し、ゴールを目指す。霧の中でも、一応受験者の顔は見た。ヒソカに似ている人間は一人もいなかった。
ミルキ君曰く、ヒソカなら心配せずとも最終試験まで行けるらしい。
私が死んでいる間にどれだけ強くなったかは知らないが、それにしてもピエロに勝つほどではないだろう。彼の歯牙にかかる前にこの試験を辞退させなければ!
ミルキ君には、メールでヒソカの写真を送ってくれるよう頼んだが、まだ返信がない。ヒソカが成人していればどんな顔になっているだろうか。想像してみる。ヤバイ、めちゃくちゃ格好良さそうだ。
早く会いたいな、なんて、うっとりと思いに耽っていると、目の前を何かが通り過ぎた。首を傾げてその軌道を辿ると木にささったトランプを発見する。
「こんにちは★」
「・・・」
ギギギと、油が足りない機械のように首を声が聞こえたほうに向けると、思ったとおりの人物がレオリオを肩にしょって立っていた。膝が笑うが、それを止める術を知らない。
うん。神様?
確かにヒソカに会いたいって、思ったよ。
でも違うよ。もう一人のヒソカの方だから。
うん、私、この人とは会いたく無かったな。
「・・・こ、こ、こんにちは」
ほら、見てみろ、案の定噛んだじゃないか。じわりと、額に汗が滲む。怖くなったは、帽子のツバを引っ張って、できるだけヒソカと目を合わせないようにした。見たら最後、悲鳴を上げずにはいられないだろう。
「クク、挨拶は目を合わせてしなきゃね?」
が麦藁帽子から手を離した瞬間、ヒソカはそう言ってトランプで帽子を弾き飛ばした。全身から血の気が引いたが、これで目を合わさなければ、ジ・エンドだ。
無駄に死期を早める必要は無い。は恐る恐る顔を上げた。
「っ・・・」
原作ヒソカを見て、は目を大きくあけた。
奇術師の格好をしていた時のニコラとそっくりだったからだ。まあ、白粉を塗れば、皆同じような顔になるかもしれないが、
しかしながら、ニコラと似ているその顔立ちは意外にもを安心させ、一時的にも緊張を和らげた。そして、彼女が悲鳴を上げるという自体を回避させた。
一方、ピエロの方は、を見て切れ長の目をわずかばかり見開き、その後顔を顰めた。
「君、名前は?」
「・・・花子=山田です」
「・・・」
不服そうな顔をしているピエロを前に、は背中に大量の汗を流していた。名を名乗ると言うことは、名前を呼ばれると言うことだが、目の前のピエロに自分の名前を呼ばれるなんて死んでもお断りだった。この試験に参加する際、登録した名前だし、いずれにせよ偽名だとばれることはまず無い。
が、ピエロの期待はずれだと、言わんばかりの表情には反射的に後ずさった。
この男の機嫌を損ねたらどうなるか、不幸か幸いかは本を読んで知っていた。
「では、私は先を急ぐので」
シュタッと手を上げて、一応お辞儀をしてから、クルリと半回転し猛ダッシュで逃げた。
判断を間違えていることは十分承知の上で、は逃亡することを選んだ。
彼は彼から逃げた人間を全員殺していたし、強い敵から逃げるような人間はこの試験では不合格だ。彼が、まだ試験管ごっこ続行しているのであれば、の命は無いも同然。
しかし、彼が「試験管ごっこをしている」や「戦おう」と言い出す前に逃げたのが、幸いしたのだろうか。特に攻撃もしかけられず、は無事1次試験を通過することができた。