9月1日AM07:00
3年2ヶ月ぶりに幻影旅団のメンバーがアジトに集結
クロロが仲間に向けて、地下競売の財宝を全て奪うと宣言した
9月1日PM09:00
ヨークシンのマフィアが仕切る地下競売会場を襲撃
フランクリンたちが会場を制圧した
9月1日PM10:00
陰獣が旅団を攻撃
旅団が圧勝するが、この戦いでウボォーギンが捕k
「、もう寝たほうが良い」
「あ、はい。すみません」
オークションでを拾い一緒に生活を共にするようになってから、1週間が過ぎた。彼女は「ヒソカ」という青年を探して旅をしているらしく、常にパソコンに向かって情報を探っていた。「ヒソカ」という名前を聞いた時、旅団に在籍する奇術師を思い浮かべたが、
の「空気は読めないけれど真面目で優しい子」の発言でその考えを切り捨てた。ヒソカは空気を読むタイプだし、どちらかというと不真面目だ。そして彼を優しいと評す人物がいるなら、俺は「優しい」の定義を辞書で一度確認することをお勧めする。それでも、彼を優しいと評するのであれば、近くの精神科をお勧めしよう。きっと為になる筈だ。
読書が趣味の俺にとって、彼女の隣にいることは気が楽で、そして同時に楽しかった。パーソナルスペースを大切にする人間だし、赤の他人と一緒に暮らすことなど考えたこともなかった。
しかし、彼女は14歳とは思えない程、いや、そこらへんの大人よりも聡明で博学だったし、芯のある人間で、彼女の傍は居心地が良かった。こんなに長く時を共にしたのは旅団関係の人間以外に今までいなかったように思う。
彼女との生活はなにもかもが新鮮だった。「ヒソカ」という青年には申し訳ないが、彼女を手放す予定はなかった。
幻影旅団の団長は取ったものを一頻り愛でるのが習慣だった。そして、一頻り愛でるとゴミ同様に捨てるのも習慣だった。
確かにクロロはを愛でていたが、そのうち飽きることを確信していたし、飽きたら殺すか売り払うかしようと考えていた。
「何か調べていたのか?」
パソコンを閉じて、クロロが半分を陣取っているベッドに潜り込んできたの頭を小突くと、はコロンと転がった。
額を押さえる姿がなんとも可愛くて、父性愛というものはこんなものかも知れないと思い至る。
「いえ、明日の予定を」
「悪いな。誕生日なのに朝も夜もつきあえなくて」
明日は例の9月1日だった。クロロは開いていた本を閉じ、の額に触れた。
「いえ、祝って下さるだけで十分です。それ以上望んだら、バチが当たりますから」
「その予定表、俺に見せてくれないか。仕事が早めに終わったら会いに行く」
「え、ああ。書いていたのは、私の予定ではありませんから」
「じゃあ、誰のものを?」
「誰というか、超個性派ぞろいの集団の今後の予定を・・・。占いみたいなものです」
目を泳がせながら、そう言う彼女は挙動不審だったが、クロロは特に気にせず、話を促した。
「占いか・・・。女は皆そういうの好きだよな」
の黒い髪を手ぐしで梳かすと、彼女は気持ちよさそうに目を細め、枕を抱いた。
「男の人でも、占いをする人はいますよ。例えば、その超個性派集団の団長さんは占いしますし」
「へえ、変わってるな。サーカスかなんかの団体か?」
「トラやライオンより物騒な出し物ですけど、サーカス・・・、あー、ピエロはいますよ。奇妙で不気味な」
「一度お目にかかりたいものだな」
ピエロというとヒソカを思い出すが、一度本物のピエロを見てみたいとも思った。
きっと、ヒソカ以上に奇妙で不気味な存在もないのだろうが。
「評判は最悪ですよ。それにピエロはもうじき退団しますし」
「働きに見合う報酬を得られなかったのか?」
真剣な様子で言葉を返すと、彼女はクスクスとおかしそうに笑った。
そして悪戯っ子のような表情を浮かべて、クロロを見上げた。
「そんなまっとうな理由じゃありませんよ。 ピエロが離れた後は、多分団長も単独行動するようになるんですよ。 後輩・・・友達が言わく、この二人はできてるらしいです」
が小さな小指をクロロの前に出し、妖艶に笑った。
その笑みは14歳の少女の表情でなく、女のそれだった。俺は目を奪われた。
俺たちはしばらくの間、見つめあい、俺が彼女の頬に手を添え、顎まで滑らせると、彼女は慌てて後ずさり、口を開いた。
「い、今更ですが、なんで私を助けてくれたんですか?」
俺は一瞬目を泳がせた。彼女を助けた理由は彼女にとって気分の良いものではない。
が、真面目な目で聞かれると、こちらも真面目に答えなければいけないような気もしてくる。
彼女の瞳には一種の魔力みたいなものがあった。適当にあしらえない。面倒だけれど、そんなところを気に入っていた。
「・・・命の恩人に似ていたんだ」
時を重ねるごとに思いは膨らみ、変化していった。過去の記憶は美化され、いつしか彼女は俺の中で、命の恩人ではなく、想い人となった。
俺は、あの日、彼女の虜になった。
「・・・ハンスさんの命を救った人、ですか。その人は今」
「俺をかばって、死んだよ」
「あ、すみません」
は、しゅんと効果音がつくくらいワザとらしく俯いた。
俺は軽く首を横に振って、彼女の頬から手を離し明かりを消した。
「生まれて初めて救いの手を差し伸べてくれた人だった。彼女にはとても感謝しているんだ」
「ハンスさん」
は泣きそうな声で俺の胸に抱きついてきた。
それはどう考えても誘っているようにしか見えなかった。
「・・・私もその人に感謝してます。彼女が貴方を生かしてくれたから、私は貴方に会うことができました。 私は、ハンスさん、貴方のことを」
が全てを言う前に、俺は彼女に口付けした。
最初は触れるだけの、けれど、彼女が抵抗しなかったので、それから、深く舌をからめた。意外だったのは、彼女も慣れていたことで、その事実に俺は少なからず、いや、ほんのちょっぴりだけどショックを覚えた。
彼が彼女の胸元に赤い花を散らし、二人の吐息が熱くなって室内温度も上がってきた頃、クロロはズボンのベルトに手を伸ばした。ガチャガチャという金具の音が聞こえて、そこで初めてクロロは我に返った。
そして、の耳元に口を近づけ、蚊の泣くような小さな声で質問した。
「・・・、初潮は?」
「・・・まだ、です」
「・・・」
クロロ=ルシルフル(26)
世界の財宝が集まるオークションの競売品を全て強奪する勇気はあるが、未だ初潮が来ていない少女を犯す度胸はなかった。